上京の日

新幹線のホーム。見送りに来てくれたのは当時付き合っていた人で、ついに遠距離恋愛かと思いきや、発車直前の別れ話。発車のベルは鳴るし、とにかく私はこの新幹線に乗らねばならない。


東京。

迷い迷ってたどり着いた今日から暮らす部屋。アパートの前に車で来ていた父と弟、叔父が待ちくたびれていた。持ってきたのは、中古の冷蔵庫と洗濯機、寮で使ってた寝具、ソニーの赤いダブルデッキ、物置から出したような折り畳み足テーブル。帰りぎわに弟が「こんな臭い水飲めない!」と吐き捨てた。


もう10年以上前の話です。