ボイコット 2と1/2

 職員の余興。受けを狙った寸劇とそれに続くバンド演奏、その他大勢ずらずら並んでコーラス隊。これがコーラス隊とは名ばかりのブラウン管ダンサーズ。ツーステップは足踏み軽く手はひらひらと上下に舞って、あげくのはてには肩をいからせ胸を振る。私は職務をボイコット、しらっと客席のパイプ椅子に腰をおろして光り輝くステージをぼんやり眺めた。
 高校三年生の冬。我が学年のプログラムは先生の意向によりどういうわけか時代劇。昨年までは宝塚風の華麗な劇を繰り広げてきた三年生の伝統はどこへやら。ちょんまげつきのかつらを被りもんぺ姿の三年生。そんなのやってられないと作戦決行。その他大勢に紛れることに成功した私は本番直前に講堂を脱出、出番が終わる頃までトイレに逃げ込んだ。
 ラモーナ*1のこと。ラモーナはクリスマスの降誕劇で羊の役になった。お母さんに衣装を頼んだが、忙しいお母さんがやっと作ることができたのは頭の部分の帽子だけ。あとはありあわせの服を着るしかない。友達が素敵な羊の衣装で現れる中、ラモーナは劇になんか出るもんかと楽屋の隅に隠れることに。ところが、そこにやってきた高学年のお姉さんにマスカラで鼻の先を黒く塗ってもらい気をよくしたラモーナは意気揚々と舞台に上がった。
 どうやら私の鼻の先も黒く塗る必要がある。