気絶する女達

 

この映画は気絶する女性の美しさにスポットを当て、ただその瞬間をひたすら追い続けたものです。スクリーンに映し出されるのは何百人もの女性が気絶していくシーンのみ。
 −『気絶する女達』

 こんな映画があるかどうかは知らないが、今日の出来事。


 つかつかとやってきた女の子が私に向かって「資料を一部ください。」と言う。はて、ここは会社だったかな。本はたくさんあるけれど資料なんてもの、ましてや小学生に渡すものなんてあるはずない。困惑していると、にっこり笑って「今、女社長ごっこやってるの。」そうか、それならと雑紙をつかみ「これが資料になります」と渡した。その子は本を読み、その後インクペンという名の鉛筆でさらさらと何かを書いていた。課長にしてあげると言われたがお断りして「会長ならお受けします」と返答しておいた。


 さて、「赤毛のアン」に夢中なこの子は自分にアン・シャーリーという名をつけた。他に二人いたのだがキャメロン・ディアスエドワルド・サファイアという名前に落ち着いたらしい。ちなみにアンの親友のダイアナ・バーリーは、今生きている人でないからという理由で拒否された。キャメロンはさておき、エドワルド・サファイアの由来は、『さるのオズワルド』という絵本と好きな宝石を組み合わせものだそう。エドワルドなんてどこにも書いてないけどな。


 トイレにいくキャメロンが「出張に行ってきます。」というもんだから「映画の撮影ですか。」と思わず言ってしまった。さらにごっこ遊びはエスカレート。3人は映画を撮り始めた(つもり)。
 タイトルは『気絶する女達』次々と声をあげながら倒れていく3人。飽きることなく何度も何度も繰り返す。最後には満足そうに「大ヒットしたので10億円寄付します」と空っぽの手を私の手に重ねてくれた。


 ごっこ遊び最前線。