夏休みのまとめ

 昨日まで二週間の休暇をとっていた。とはいえ、お財布は空っぽだし、仙台を拠点にして18きっぷの旅TOHOKUの青写真は風に吹かれて飛んでいき、風船のような時間だけがふわふわと存在。ごろりごろりとテレビ、PC、ケータイ、ゲーム。気が向いたら猫を呼び、毛を梳いてあげた。充電も放電もすることなく、ひたすらニュートラル。読書すらまともにしなかった。
 実家に帰ったって皆お盆関係なく働いているし、私だけ浮いてた。なんていうのかな、目に見えない透明なシャボン玉のようなものを外から押すんだけれど、ぐにゃりとするだけで入り込めないような感覚。
 一人非日常。


 帰るたびに会う友人がいる。
「七夕見に行こう」と電話があった。全国からの観光客でごった返しているこの時期、あえて吹き流しの下がっているアーケードは通らない。だから本当に久しぶりだった。吹き流しを勝手批評しながらそぞろ歩き、仙台味噌屋で今夜限りの味噌おでんをほおばる。そろそろ終点という頃、写真を全く撮ってないことに気づいた。「写真撮ればよかったな」と呟くと「私は住んでいるから見せる人いないし」と彼女。私がもうこの土地の人ではないと言われたようで言葉が心にこつんと転がった。
 一週間後、飲みに行った。予定の店は盆休み。私の地図は高校卒業以降更新されていないので全くあてがない。「どこか知らない?」と彼女は私に聞いてくる。彼女は私が昔と同じようにこの街を分かっていると思っている。また少しだけ悲しくなった。



 さて、そろそろトーキョーに帰るか。ひとり取り残された家を出てのんべんだらりと駅まで歩いた。母親から「もの欲しげに歩くな」と何度も注意されたその足どりで。
 そして二週間もの間ぼけらっとしていた私は、買って一時間も経たないうちに新幹線のきっぷを落とし、駅員の前で半べそをかいた。


 夏休み終了!