七五三

 ホームに袴着姿の男の子。傍には両親と祖父母。お宮ならまだしも、こんなところで見かけることは珍しく、思わず同じ車両に乗り込んだ。破魔矢の鈴をちりんちりん鳴らしてうれしそうにしている。今日は季節外れの台風が近づいており、その子の足元も長靴。雨は降っているけれど、今日はハレの日。誇らしげに背筋を伸ばしている姿がまぶしかった。
 思い出したのが、七歳の七五三。その日は朝から美容院で着付けをしお化粧もしてもらった。かわいらしいお嬢さんのできあがり。が、私は口紅のぬめっとした感触と強い匂いがだめだった。もともと車酔いをする人*1なのも災いして、神社へ向かう車中で気持が悪くなり、さんざんな七五三となったのだった。
 はたして、あの男の子に今日という日はどのように残るのだろう。素敵なかけらでありますように。

*1:社会見学のバスは前方窓側、良い止め必須、朝ごはんに卵は食べない