鈴虫

 秋になるときまってお座敷に鎮座まします水槽。中にはたくさんの鈴虫。あれは誰が持ってきていたのだろう。リーンリーンと大合唱。暗い廊下をひたひた歩いて障子を開けるとぴたっと止む。息をころして水槽を覗き込む私。しばらくすると小さい体を震わせながらまたリーンリーンって鳴いた。