大江健三郎レクチャー

 池袋のジュンク堂で、大江健三郎のレクチャー。限定60人ということで、非常に近いところで話が聞けてよかった。
 主に、ダンテの『神曲』を、大江さんが好きな箇所を中心にひもといていく。超古典、私は手に取ったこともない。しかし、会場に来ていた人は、うなずきながら熱心にメモをとっている。もしかして場違い?最初はどうなることかと思ったが、話がとてもおもしろく、読んでみたい気持ちになった。新しい本との出合いは、いろいろな所に転がっているものだ。
 以下は、私のメモ。(私のアンテナにひっかかったところだけ。記憶なので正確ではない。)

神曲-地獄篇』13歌

  • 自殺=自分に対して暴力をふるうこと→肉体をもたない
  • 「次は大江が自殺する」というゴシップ記事←伊丹十三「ダンテに書いてある。大江は自殺しない」

神曲-地獄篇』26歌

その他

  • イリアム・ブレイク
  • 第3の場所
  • 神曲を読むなら、寿岳文章訳(集英社)を薦める。注釈がよい。ただし、自分は山川 丙三郎訳を読むとのこと。
  • 研究書、シングルトン
  • 広中平祐の話を聞いて、円と直線の接点からダンテを思い出した。
  • 「一生の間持っていたい古典との出会い 一度離れても、時が経って戻ってくる」

 高校生時に、オデュッセイアのガーターが何か分からなくて国語の先生に尋ねたら、スカートをめくって見せてくれたというエピソードも。
 最初と最後に、「若い時に本を読むことで通じた友人は一生の友人」との言葉が印象的だった。大江さんにとっては、伊丹十三だったのだろう。

 先日、新刊が出たためにサイン会があった。そのためにレクチャーの時間が短くなっているような気がする。でも、サインしてもらったからいいかな。
 今日のレクチャーは6回目で次回が最終なのだけれども、一度当選した人はだめらしい。残念。でも、会場は書架と接しているので、会場に入らなくても聞くことはでき…
 

「伝える言葉」プラス

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