Antarctica

冷たい風に吹かれていたら 南極に行きたくなった 駅からの道 ペンギンの大行列 一番後ろに私も並ぶ すました顔してひたひた歩いた 少しだけ手もばたばたさせた 東京の空 南十字星が光った

プレゼント

男の子が「これあげる」っていって私の前で手を開いた。手のひらには折り紙で作られた茶色の花。 「百合の花だよ」 「茶色の百合なんて珍しいねえ」 「おう、これ腐った百合だから!」

喪失したもの

正月は家族が揃うのが当然の我が家だった。朝風呂に入り、少し照れながら「明けましておめでとうございます」と食卓につく。「えー、飲みたくないよ」と言うも拒否することは許されない御屠蘇を父から注いでもらい、年頭の挨拶。お節料理を食べながら正月番…

年越しだからと重い腰上げてやって来たのに明日はみな仕事で朝からいないらしい。五年前に越してきたこの家は本当にこじんまりしていて、灯りを消した部屋に母親の寝息が聞こえる中で私は座っている。ここには居場所ないし何してるんだ。そんな大晦日なので…

日光を浴びて漂っている埃はきれいだなあと思ってしまうし、頭の中も埃が積もっているようなもんだし、実際埃まみれの部屋に住んでいるのでここのタイトルを変えた。積もり積もればいいんじゃないかな。

気に入らない。そんなことを書きたいわけじゃない。長々と書いた文章を消しゴムで一気に消した。私に配られた藁半紙は消してばかりでいつも破れた。あー、いっそ書かないほうがいいんじゃないだろうか。白紙で出した高校最後の国語のテスト。先生は驚いたに…

免疫獲得?

視線前方に、だだっとランドセル揺らして走ってる男の子。私の前でぴたっと足を止めた。「明日から学芸会なんだ。」「そっか、がんばれよ。」と言葉を交わしたあとにこう言った。「でも風邪ひくかもしれない。」最近ぐっと冷え込んだしな、それともこの子緊…

まんじゅうはこわい

夢。 起床して居間に降りた。父と母が並んでお茶を飲んでいる。「おはよう。」ちらっとテーブルの上を見ると美味しそうなお菓子たち。 所変わって、なんか大学の構内みたいなところ。歩いているとCMの撮影に巻き込まれそうになって走って逃げる。途中で、…

気絶する女達

この映画は気絶する女性の美しさにスポットを当て、ただその瞬間をひたすら追い続けたものです。スクリーンに映し出されるのは何百人もの女性が気絶していくシーンのみ。 −『気絶する女達』 こんな映画があるかどうかは知らないが、今日の出来事。 つかつか…

夏休みのまとめ

昨日まで二週間の休暇をとっていた。とはいえ、お財布は空っぽだし、仙台を拠点にして18きっぷの旅TOHOKUの青写真は風に吹かれて飛んでいき、風船のような時間だけがふわふわと存在。ごろりごろりとテレビ、PC、ケータイ、ゲーム。気が向いたら猫を呼び、毛…

壜に詰めた春

通勤途中の車窓。目の前に満開の桜並木。高架上だったから桜色の雲の中にいるような気分になった。 小学生の頃、歩いて30分くらいの湖畔公園によくピクニックに行った。その公園はまだ整備されていなくて、ゆるやかなカーブの道でつながっているいくつかの芝…

私の顔

以下の写真から私の顔を想像してください。

変な時間に寝たものだから変な時間に眼が覚めた。 隣の部屋の馬鹿騒ぎ、降り続ける雨の音。 ヨーグルトに無花果ジャムをのせた。 ジャムをのばしたりかき混ぜたり。 ああ、無花果の色って一番好きな色かも知れない。 くもったスプーンに写ったさかさまの私に…

山こえて

来ることのできなかった人の所まで、山こえて谷こえて、私の声が届きますように。 この人のように、自由に楽しくできますように。 そうおまじないをしてから始めた。終わったら元気いっぱいピンク色のお花が届いてた。 あなたのところまで、私の声は聞こえま…

たこたこあがれ

仕事に身が入らず、ぼーっとしていたら、視界を白いものが横切った。窓辺を見やると、子どもが凧を揚げているようだ。骨のないぐにゃぐにゃの凧。 小学校の頃、凧揚げ大会があって、そのために冬休みに凧を作るのだけれど、父親が工作好きなものだから、私の…

今朝の夢

立て替える前の我が家。小さい子がどうしても入りたいというので、一緒にいえにあがると、お座敷にはたくさんの透明な筒があり、その筒の一本一本には、透き通るような緑色の水草と、鮮やかな金魚が一匹づつ。赤紫色で細く枝分かれしたひれを持つもの、赤と…

七五三

ホームに袴着姿の男の子。傍には両親と祖父母。お宮ならまだしも、こんなところで見かけることは珍しく、思わず同じ車両に乗り込んだ。破魔矢の鈴をちりんちりん鳴らしてうれしそうにしている。今日は季節外れの台風が近づいており、その子の足元も長靴。雨…

鈴虫

秋になるときまってお座敷に鎮座まします水槽。中にはたくさんの鈴虫。あれは誰が持ってきていたのだろう。リーンリーンと大合唱。暗い廊下をひたひた歩いて障子を開けるとぴたっと止む。息をころして水槽を覗き込む私。しばらくすると小さい体を震わせなが…

いま ないた からすが もう わらった

昨日、とてもくやしいことがあり、感情の針が振り切れてしまったのであとは涙ということになりました。で、思い出したこと。 小さい頃、よく祖母に言われた言葉。「いま ないた からすが もう わらった」 ほんとうによく泣く子だったのです。そこに、母親が…

訃報を二件、立て続けに聞いた。 サイードのドキュメンタリーはまだ見ていないのに。そして、トリノオリンピックのNessun Dormaを見た。人間いつかは死ぬんだな。 外は雨風激しく、悲しみに輪をかける。そんな時、ふいにおなかがなった。 Requiescat in Pace

聴かない

日本人女性ボーカルのバラードは聴かない。好きじゃない。音が好みだとしても聴かない。言っていることが理解できるから聴かない。簡単に想像できるから聴かない。 リアリスティックなのが嫌だ。

一粒万倍日*1

祖父の座っていた席の後ろの壁にはカレンダー。後ろが透けるほど薄い乳白色の紙。そっけない数字のわきには、小さく、しかし堂々たる存在感で、旧暦と六曜が書いてある。その中でも目をひいたのが、一粒万倍日。「ひとつぶまんばいび、ひとつぶまんばいび」…

葉月に思う

職場のある部屋のかたすみに、ひっそりと置かれていた車椅子が目に入った。ほんの一瞬、父の姿が頭をよぎった。それから数時間後の帰宅途中、車椅子の男性とすれちがった。その車椅子はスポーティーで、男性は颯爽に風を切っていた。素敵なデザインと思うと…

にわたずみ

夕方から雨もあがり、あちらこちらにみずたまり。水面は雲の切れ間の青空を映していました。みずたまりは「にわたずみ」とも言うそうです。 にわたずみ にはたづみ 【▼潦】*1 (名) 雨が降って地上にたまったり流れたりする水。 たまっている水も流れている…

都会の空地

日曜日の夜、時間があったので、三軒茶屋から渋谷までR246に沿って歩きました。月が低い位置にあって、なかなか素敵な夜。のんびり歩いたので一時間くらいかかったかも。 池尻あたりから渋谷にかけて、建設中の広い土地がぽこぽこありました。都会の地面は休…

フレンチトースト

昨日「クレイマー、クレイマー」を見たらフレンチトーストが食べたくなった。 妻が家を出て行って父親が息子と初めて作った朝食がフレンチトースト。卵の殻は入る、ミルクを入れ忘れる、焦がしたあげく、フライパンはひっくりかえすといった有様。そしてスト…

ディア ノーバディ

ノーバディーは最後ノーバディではなくなる。 決してハッピーエンドではないけれど、希望を感じさせるラスト。 大人になるということ。成長物語。 お互いの母親との関係、自分もノーバディではないか。→自分探し 10代での妊娠という重い題材にもかかわらず、…

田んぼを探して

幼い頃、窓に目をやれば、一面広がる水田があった。春はおたまじゃくしをすくい、夏は風にそよぐ緑のじゅうたんを眺め、秋にはイナゴをとって、冬は広いグラウンドになった。 東京における私の行動範囲で水田を見ることはない。それでもGWの頃には、そろそろ…

はさみの音?

昨日、神社の前のケヤキの木から「パチン、パチン」って剪定をしているような音が聞こえてきた。まだ8時まえだったから、「ずいぶん早くから仕事に精を出しているなあ」って思ってのぞいてみたが、人もいなければ、はしごもない。音のする木の上を見ると、カ…

時は過ぎ行く

最近、時代って移っていくものなんだと実感している。20代前半は、著名人が亡くなったと聞いてもさほど気にも留めなかった。ところが最近はだれそれが亡くなったと聞くと、ああ世代交代ってあるんだな。と思うし、一時代が過ぎ去ってなんだか寂しくもある。…